企画集会

ER シンポジウム

今年度のER シンポジウム(ER招待講演を希望するシンポジウム)では、以下のシンポジウムが採択されました。


The future of the ecology of host–parasite relationships in Japan: Linking natural history and ecology

【提案者】
長谷川稜太(北海道大学)、佐藤拓哉(京都大学)

【ER招待講演者】
Robert Poulin (University of Otago, New Zealand)
「Breaking down the barriers between parasitology and ecology: a user’s guide」

ロバート・プーラン博士:オタゴ大学動物学科名誉教授。ラヴァル大学にて博士号を取得後、1992年よりオタゴ大学に着任。寄生虫の進化生物学・生態学分野を牽引してきた世界的権威。

累計700本以上のインパクトある論文や多くの著書の中で、寄生虫の進化や生態に関する新たなコンセプトを提唱し続け、現在の「寄生虫進化生態学」の礎を築いた立役者である。


ERシンポジウム招待講演者へは旅費の補助が行われるほか、大会後にシンポジウム内容に関連したレビュー論文もしくは特集論文などをEcological Research誌に投稿していただくことを予定しています。

公募セッション

今年度の公募セッション(発表分野の追加を伴うシンポジウム)では、以下の2つのテーマが採択されました。


【災害と生態学 / Ecology and Disasters】

【提案者】
上野裕介(石川県立大学)、占部城太郎 (東北大学)

【提案の狙い】
日本は世界有数の自然災害多発国であり、各地で地震、津波、豪雨、地滑り、火山噴火などの大規模災害が発生し、生態学分野においても多様な研究やモニタリングが実施されてきた。しかし、それらの知見は個別の災害や地域、研究コミュニティごとに蓄積される傾向があり、異なる災害や研究分野横断的に共有・議論される機会は限られている。
さらに、東日本大震災以降は創造的復興や地域レジリエンスへの関心が高まり、生態系の保全・再生と防災・減災を両立するEco-DRR(Ecosystem-based Disaster Risk Reduction)やNature-based Solutions(NbS)が国際的にも重要な概念として位置づけられている。これらは、特に人口減少や高齢化が進む地域において、持続可能な復興や将来の災害への備えを考える上で重要なアプローチであり、生態学との親和性も高い。
本テーマ「災害と社会をつなぐ生態学:モニタリング、復興、NbSの統合に向けて」では、災害後の生態系モニタリングに加え、復興計画、地域との協働、Eco-DRR、Nature-based Solutions(NbS)、グリーンインフラなどの社会実装を含めた幅広い研究・実践を対象とする。東日本大震災や能登半島地震・豪雨を含む各地の経験や知見を持ち寄り、災害と社会の関係を生態学の視点から再考し、レジリエントな地域づくりに向けた知見の共有、新たな研究ネットワークと学術的交流領域の形成を目指す。


【長期生態学研究 / Long-Term Ecological Research】

【提案者】
中村誠宏 (北海道大学)

【提案の狙い】
長期生態学研究(Long-Term Ecological Research: LTER)は、数年から数十年にわたる観測や研究を通じて、生態系の変化とその機構を明らかにし、気候変動や生物多様性の損失などの地球規模課題を理解するための重要な研究方法である。本企画では、森林、海洋、沿岸、湖沼、草原など多様なフィールドサイトで蓄積されてきた長期観測データと研究成果を共有し、長期生態学研究が生態学の発展に果たしてきた役割とその可能性を考える。各サイトで得られた知見に加え、サイト間比較や共同研究、データ公開によって生み出された科学的成果を共有するとともに、異なる生態系、長期データ、フィールドサイト、研究者、社会を「つなぐ」ことで生まれる新たな研究の可能性を議論する。さらに、AI、データサイエンス、リモートセンシングなどの新たな研究手法との融合や異分野との連携を通じて、長期データを活用した新しい研究や共同研究の展開を考える。本企画を通じて、長期生態学研究に携わってきた研究者だけでなく、若手研究者や学生、異分野の研究者にも長期データやフィールドサイトを活用した研究の魅力と可能性を伝え、新たな研究者ネットワークや共同研究が生まれる契機となることを目指す。